演劇


  

 バレエやオペラと比べるとやや知名度が低いようにも思いますが、スタニスラフスキーやメイエルホリドといった著名な演出家を生んだロシアは演劇大国でもあり、世界に誇るロシアの文豪の作品から外国の古典作品、新作の戯曲まで様々な作品が日々上演されています。ロシア語がわからないとなかなか敷居が高いので、私もあまり足を運ぶことはないのですが、劇場へ足を運ぶと客層の広さに驚かされます。映画と比べるとやはり少々値が張るものの、それでも席を選ばなければ芝居のチケットは400ルーブル程度から購入することができます(オレンブルグの場合)。

  

 市内で人気の劇場はドラマ劇場ミュージカル・コメディ劇場です。また、タタール・ドラマ劇場でも子供向け大人向けを問わず様々な作品が上演されています。ドラマ劇場は、2012年に愛媛県にある坊ちゃん劇場が『誓いのコイン』の客演を行ったことでも有名です。頻度はあまり高くありませんが、このように外国や他の都市の劇団が客演に来ることもあります。

  

 人気の作品は?と問われると一言で答えるのは難しいですが、私は季節ものを観に行くのが一番好きです。冬ならば『雪の女王』、春ならば『朝焼けは静かなれど……(ボリス・ワシーリエフが原作を担当した同名映画の戯曲版。大祖国戦争時のある戦いを描いた作品で、戦勝記念日を迎える春ごろに上演されることがある)』などですね。

 恥ずかしながら途中で寝てしまうこともままありますが、実際に俳優が目の前で演じている舞台は映画とはまた違った魅力があるので、機会があったらぜひ劇場に足を運んでみてください 。休日の午前中や夕方早めの時間に上演されている子供向けは、言葉もわかりやすく演出も子供を飽きさせないような工夫が凝らされていてロシア語が苦手な方でも楽しめると思います。

  

 また、ロシアでは人形劇も人気があります。子供向けでしょう?と思われるかもしれませんが、たとえばオレンブルグ人形劇場では大人向けに、ゴーゴリの『死せる魂』なども上演しています。また、人形劇場ピエロでも、ジャズを取り入れた大人向けの作品を観ることができます。

 

 (M.K 2017)